抵当権抹消書類をなくした時の対応
どうも、バトンくんです。今日は司法書士実務についてのお話。抵当権抹消がテーマです。
目次
抵当権抹消書類
晴れて住宅ローンを完済すると、借入先金融機関から抵当権抹消書類というものが届くんですね!
この抹消書類を使って抵当権抹消登記申請を法務局に対してする事ができます。
疑問!なんでそんな手続きをしなくてはいけないのか?
自由に売ったり、貸したり、人にあげたりするようにするため。
住宅ローンが完済しても、何もしないと登記簿上抵当権の権利が残っている状態になります。これは第三者(あなたと銀行以外)から見るとまだ銀行の支配下にある状態なんですね!
いやいや、もう完済済みだから大丈夫だよ。って思わるかもしれませんが、第三者からみると銀行の支配下にある不動産を購入することは、リスクでしかないです。
何がリスクか。例えば本当に完済されていたか、赤の他人の不動産の所有者の言葉を真に受けて良いか。購入したものの、実際はまだローン返済中で、ローン滞納があり、銀行が抵当権の権利行使をし、不動産競売にかけた場合、購入した不動産が取られてしまう、なんて事も理論上は考えられます。
お金を払って、不動産も取られたならまさに踏んだり蹴ったりですよね。。
そのような状態を防ぐために、不動産の取引では、必ず権利を綺麗な状態にした上で、取引相手に譲渡する旨の条項が売買契約書にあります。
そして、確実に綺麗な状態で引き渡せる取引になっている事を司法書士が確認し、資金実行が行われています。
実はここに司法書士の真の存在意義があるんです。世間的には書類作成する人ってイメージが強いですが、取引の安全性を担保しているという方が正しいと思います。
抹消書類をなくした
前置きが長くなりましたが、抵当権抹消について、最近こんな相談が来ました。
住宅ローンは完済しているんだけど、抹消書類が見当たりません。無くしました。貰っていません。
いざ、売却しようって時にこういった話になるんですよね。貰ってすぐ手続きすれば良かったものの、そのまま放置してしまったために書類がどこかへ行ってしまった。ということですね。そしてさほど大事に捉えられない話にもなるんですよね。所有権の権利書をなくした時と同じくらい大事の話だと思って貰って良いかと。
専門家でも対応が難しくなるケース
- 完済したのが何十年も前でその後銀行、金融機関が統廃合で現在どこに問い合わせ窓口があるかわからない。
- 会社が清算結了しており、既に存在しない。
上記のようなケースでは、1人で手続きを済ますのはまず困難です。手続き費用も高額になると思いますので、貰ったらすぐ手続きをお願いします。
抹消書類の再発行というと、なくしたから再発行してもらおう!といっても全ての書類が再発行して貰えるノリではないんです。まずは完済した金融機関に連絡し、再発行の手配をお願いする所から始まります。
◇代表的な再発行手続き書面として
- 抵当権解除証書
- 金融機関からの委任状
です。加えて金融機関の印鑑証明書のコピー(貰えないこともある)を貰え、この書類を持って法務局へ手続きを行います。
◆再発行してもらえない(できない)書類
権利書なら私持っていますけど。と思われるかもしれませんが、お手元にあるのは所有者としての権利書(登記識別情報)です。不動産の権利を取得した際に権利書(登記識別情報)を司法書士から受け取られたと思いますが、同じタイミングで銀行も抵当権に関する権利書を受け取ります。この銀行に関する権利書を法務局へ提出する必要がありますが、権利書は再発行ができないので、権利書を提出しないで抵当権を抹消する。事前通知という制度を利用する事で手続きを行います。
事前通知制度とは
登記識別情報(または登記済証)を提出できない場合の代替本人確認制度です。本来、抵当権抹消では 登記義務者(抵当権者)の「登記識別情報」が必要ですが、それを紛失した場合に 法務局が「本当に本人の意思か」を確認するために行うのが事前通知制度です。
制度の流れ
① 通常どおり申請登記識別情報なしで抹消申請を出す(理由書などは不要)
② 法務局から通知が届く登記義務者(抵当権者)に対して「この登記申請はあなたの意思ですか?」という通知が郵送される
③ 抵当権者(金融機関)が回答
届いた通知に署名・押印して返送
④ 登記完了
本人確認が取れればそのまま抹消登記が完了
メリット
・登記識別情報がなくても対応可能
・追加費用がかからない
デメリット
・時間がかかる(+2週間以上)
・本人が対応しないと詰む(確実性が△)
この確実性のデメリットが売買取引の所有権移転登記と同時に行えない、行いづらい要因として挙げられます。
なぜ売買と同時ではいけないのか
私は抵当権者が名のしれた銀行であろうとも、事前通知による抵当権抹消+売買による所有権移転は否定派です。理由は上記デメリットのとおり、確実性に不安があり取引の安全が担保されないからです。金融機関といえども事務処理が必ず回答期限内に返答が円滑になされるかはわかりませんし、郵送事故の場合もあります。仮に抵当権抹消が却下、取下になる場合、お金だけ支払って登記簿上権利を取得できていない状況が生まれてしまい、買主にとっては大きな損害です。この状況を起こさないために、売買の日以前に抵当権抹消手続きを行い、その完了をもって売買の手続きをすべきですね。
以上が事前通知での抵当権抹消の対応でした。
司法書士に依頼するのっていくら取られるかわからないから避けるって人がいますけど、抵当権抹消だけならどこの事務所も3万円あれば手続きできると思いますので、お気軽にお問い合わせしてもらえれば!
では今日はこの辺でありがとうございました。


